治療実績 01
急性炎症を繰り返す
歯根嚢胞に対し外科的処置を行ったケース
歯根嚢胞に対し外科的処置を行ったケース
感染根管治療においては根管内の徹底したデブリードマンとその後の緊密な充填処置とが重要である。
今回のケースでは、不適切な根管治療とパーフォレーションにより根尖付近に歯冠大の骨吸収を呈しており、また急性炎症を度々繰り返していたため外科的治療を試みた。
一般的に歯根端切除術(APICO)は自費補綴後にやむを得ず行われるケースも少なくなく、適切な手順によらない症例も数多くある事を差し引いても文献上予後の良い治療とは言い難い。そのため、浜島は従来の弱点を改良した新しい方法による改良型歯根端切除術を行っており、困難なケースにおいても良好な経過を収めている。
そのうちの一例を取り上げる。
40代女性、右上側切歯の違和感により歯科医院を受診したところ、根管内に内部吸収が起こっているとの説明を受け、抜髄処置を受けた。その後しばらくして定期的な歯ぐきの腫れを自覚するようになり、口腔外科を標榜している当院を受診。
初診時患歯唇側歯肉には瘻孔が形成されており、デンタルXPにて歯冠大の骨透過像を認めた。
根管治療により可及的にGP除去したがパーフォレーション部以降にはGP残存し除去不可能と判断し外科処置へ移行した。
術式は下記の通り
本術式の特徴は歯根端切除術後の失敗の要因である口腔側からのマイクロリーケージを、レジン系の充填剤を用いることにより最小限に抑えている点にある。
通常レジン系の材料を用いる際に問題となる防湿下の操作については、手術と同時に行う事により根尖側からの血液の根管内への直接の侵入を防いでいる。
根尖部の透過像は消失し正常の骨組織により治癒していると考えられる。歯冠歯根比の問題はあるものの術後動揺もなく経過良好に推移している。
感染根管治療においては根管内の徹底したデブリードマンとその後の緊密な充填処置とが重要である。
今回のケースでは、外傷による原因歯の歯髄壊死とその後の感染、及びその状態を数年放置していたため前歯部6歯に渡る巨大な歯根嚢胞を形成し、唇側骨は菲薄化し羊皮紙様感を呈していた。
30代男性、数年前に打撲により右下犬歯を外傷、その後何度か痛みを自覚するも放置、数カ月前から下顎が腫れてきている事が気になりだした。初診時、発熱と開口障害、膿瘍を形成していたため、パノラマXP、CT検査を行ったところ下顎骨に大きな骨透過像を認めた。応急処置として切開排膿術及び抗生剤を投与。その後、急性炎症が落ち着くのをまって歯根嚢胞摘出術と右下犬歯の歯根端切除術を施行した。
歯根嚢胞摘出術及び改良型歯根端切除術を行った。
骨の透過像は消失し左右対称の正常の骨組織により治癒していると考えられる。
患歯は術後動揺もなく経過良好に推移している。
上顎洞は副鼻腔の一つ、鼻腔の左右、上顎臼歯部の上部に位置し感染により上顎洞炎を起こす事がある。上顎洞炎には鼻が原因の鼻性上顎洞炎の他に歯が原因となる歯性上顎洞炎があり、症状としては頭痛や鼻閉感や鼻汁といった症状以外にも患側臼歯部の咬合痛や歩行時ひびくなどといった症状もあり、鼻性上顎洞炎であったとしても歯科を受診するケースも少なくない。このような場合に診断を誤らないよう、歯科医師は常日頃から歯牙、口腔以外の原因も検討するよう心掛ける必要がある。
40代女性、上側左側臼歯部の咬合痛を主訴に歯科医院を受診したところ、むし歯があると言われ治療するも痛み消失せず、口腔外科を標榜している当院を受診。
問診より1週間前に風邪をひき、それに継発して症状が出てきたとの事。
左側臼歯全体にわたり打診痛を認め、その他左側片頭痛や眼下部の圧痛を認めたため上顎洞炎を疑った。レントゲン上左上6番に2次カリエスを認めたもののEPTにて陰性。
CT上左側上顎洞内に不透過像を認め、発症までの経緯から鼻性上顎洞炎の可能性を疑い、抗生剤を投与した。
1週間後症状が改善されたため経過観察とした。
CR修復は日々の臨床において度々行われる処置である。CRの物性の向上に伴って様々なケースで用いられている一方で、正しい手順で処置を行わないと十分な接着強度が得られず変色や脱離を起こしやすいため注意が必要である。
近年では自費のCR修復を行う医院も増えてきてはいるが、未だにCR修復は保険診療の枠組で行う事のほうが多く、自費のCR修復とは異なり保険のCR修復については限られた時間内で効率性と審美性、機能性を兼ね備えた治療が求められる。
20代女性上顎右側6番のアマルガムの色が気になるとの事でCR修復での再治療を希望。
10~15分程度の処置
効率性の求められる保険診療の枠組みの中でありながらも十分に審美的な治療は可能である。